『赤帽』ご存知でしょうか?
単身で引っ越しするなら、引っ越し業者より赤帽の方がいい!と聞きます。
間違った情報を鵜呑みにして後悔しないように、なぜ赤帽の方がいいのか、どのようにいいのかをこの記事では紹介していきたいと思います。
目次
赤帽引越しは安い?引っ越し業者と比較
まず『赤帽』とはなんぞや?どうして引っ越し業者と区別されてるの?と初耳の人のためにも簡単に紹介しておきます。
引っ越し業者は「会社」ですが、赤帽は「事業協同組合」なのです。
事業協同組合と言われてもいまいちイメージができないので、農業や漁業を思い浮かべると分かりやすいです。
農業や漁業をしている人たち彼らは「個人事業主」ですよね。
自分で農作物を作って自分で売り利益を得るというという独立した仕組みです。
引っ越し業者のように本社と支社という一般的な会社の上下関係の組織ではなく、赤帽は農家や漁師と同じく「独立した個人事業主」なのです。
ただ間違えていけないのは、赤帽は引っ越し専門の業者ではないということです。
赤帽の業務内容をざっくり言ってしまえば、「荷物を運搬する仕事」であり、その一部門として引っ越し作業も担うという言い方をした方がいいでしょう。
位置づけとすれば、宅配業者と引っ越し業者の中間地点にあると想像すると分かりやすいです。
宅配業者では運べない大きな荷物を運ぶことができるけれども、引っ越し業者のようには、引っ越しを専門とはしていないと考えてください。
「では、引っ越しする際赤帽と引っ越し業者どっちが安いの?」
この質問に対する答えを簡潔に言うと「赤帽の方が安い!!」ということになります。
赤帽と引っ越し業者の基本料金(単身・荷物小)で比較してみると・・・
20km以内という条件の元であれば、赤帽が13,500円に対して、引っ越し業者は35,343円です。
赤帽を使った時、引っ越し費用を引っ越し業者を使った時の約1/3に抑えることができるのです。
「どうしてこんなにも赤帽は料金を安くすることができるのか?」
その答えは人件費と車種です。
多くの引っ越し業者が、トラック1台につき2人を配置していますが、赤帽の場合はトラック1台につき1人しか配置しておらず、人件費の節約になります。
さらに、赤帽のトラックの車種は全て軽トラックで費用を抑えることができることから、安い料金を実現することができているのです。
但し赤帽の方が安いのには条件があります。
条件とは、単身で短距離の引っ越しの場合です。
赤帽が安いのは短距離の単身引っ越し
ではどうして赤帽の引っ越し料金が安くなるのは「単身で短距離の引っ越し」という条件下に限るのでしょうか?
赤帽と引っ越し業者の基本料金(単身・荷物小)を比較した場合、赤帽の料金は1/3
ただ、この料金体系の中に赤帽の場合最大積載量が350kgという規定があります。
引っ越し業者は積載量の異なるトラックを融通することができる一方、赤帽の多くの営業所では最大積載量350kgの小型トラックしかないのです。
多くの営業所といった赤帽は各都道府県にあり、一部の営業所では赤帽標準車両の1.5倍のトラックを採用している所もあるからです。
(じゃあ2台頼めば?という突っ込みに対しては後ほど検証してみたいと思います。)
実際赤帽も単身の引っ越しを推奨しています。
ただ、単身であっても荷物が非常に多いという人もおり、そういった人は引っ越し業者を用いた方がいいでしょう。
赤帽はそもそも地域密着型
勿論遠方にも引っ越しすることは可能なのですが、基本は近距離型の引っ越しを扱っているため、遠距離になるほど加算料金が引っ越し業者よりも高くなるのです。
以上の条件から、「単身で短距離の引っ越しの場合」は引っ越し業者よりも赤帽を用いた方がはるかに安上がりになるのです。
赤帽で引越した場合の相場・値段
ここでは赤帽を利用した時の実際の値段を引っ越し業者と比較して検証したいと思います。
まず赤帽の料金体系から紹介します。
赤帽の料金体系は
① 距離制料金
② 時間制料金
の2つのプランがあります。
どのように使い分けるのかは、タクシーを例に出すと分かりやすいです。
一般的なタクシーは渋滞時には経過時間によって計算されますが、高速走行時には距離に応じて料金が加算されていきます。
赤帽の場合は、基本的には時間制料金を適用しますが、渋滞などが予想される地域・日程などの場合距離制料金を適用することになっています。
1.距離制料金の算出法
距離制料金
距離 | 基本料金 | 加算料金 |
~20㎞ | 4,860円 | ー |
21~50㎞ | 4,860円 | 1㎞につき 216円 |
51~100㎞ | 4,860円 | 1kmにつき 162円 |
101~150㎞ | 4,860円 | 1kmにつき 129.6円 |
151㎞~ | 4,860円 | 1kmにつき 108円 |
作業料金
最初の30分 | 無料 |
30分~ | 30分ごとに540円 |
待機料金
最初の60分 | 無料 |
60分~ | 60分ごとに1,080円 |
例:新居までの距離が120kmの場合(作業時間:60分/待機時間:40分)
距離制料金(基本+加算)
4,860円+(216×30+162×50+129.6×20)円
作業時間60分
無料30分から、30分超過しているため540円
待機時間
60分以内なので、無料
合計:22,572円
2.時間制料金の算出法
プラン名 | 基本料金 | 超過料金 |
2時間貸し切り(~20km) | 4,860円 | 以降超過時間30分ごとに1,350円 |
8時間貸し切り(~80km) | 21,060円 | 以降超過時間30分ごとに1,350円 |
これで赤帽を使った時の料金体系がだいたい分かったかと思います!
それでは、引っ越し業者を用いた時とどっちがお得か具体的な例で比較してみましょう。
※引っ越し業者の料金は大手5社の平均の料金を用います。
(1)単身・荷物が少ない〈350kg以下〉・短距離〈~50km〉の場合
引っ越し業者の料金:44,421円
赤帽の料金:11,882円
赤帽>引っ越し業者
(2)単身・荷物が少ない・中距離〈~200km〉の場合
引っ越し業者の料金:47,789円
赤帽の料金:23,240円
赤帽>引っ越し業者
(3)単身・荷物が少ない・長距離〈200km~〉の場合
引っ越し業者の料金:67,230円
赤帽の料金:500km 55,460円 600km〈大体東京~大阪間〉66,440円
この結果を見ると荷物が少ない〈350kg以下〉単身の引っ越しの場合
600kmあたりが引っ越し業者よりも安くなるラインだということがわかります。
※引っ越し業者の場合は2トン・4トントラックがあることが一般的です。
(1)単身・荷物がやや多め・短距離の場合
引っ越し業者の料金:44,421円
赤帽の料金:23,764円
赤帽>引っ越し業者
(2) 単身・荷物がやや多め・中距離の場合
引っ越し業者の料金:47,789円
赤帽の料金:46,480円
赤帽≒引っ越し業者
(3)単身・荷物がやや多め・長距離の場合
引っ越し業者の料金:67,230円
赤帽の料金:300km 68,010円
荷物がやや多めでトラック2台を利用しないといけない場合、300kmの時点で赤帽の料金が引っ越し業者よりも高くなりました。
3人家族・荷物多め・短距離の場合
引っ越し業者の料金:76,542円
赤帽の料金:82,462円
赤帽の場合トラック6台~10台必要になってくるので、料金は必然的に高くなってきます。
短距離の時点で引っ越し業者>赤帽となります。
これ以降距離が増えても、引っ越し業者の方が安いのは明らかですね。
結果を考察してみると、
(1)荷物が少ない場合赤帽の方が圧倒的に安い。
(2)荷物がやや多い場合〈赤帽でトラック2台分〉中距離であれば赤帽の方が安い。
長距離になると引っ越し業者の方が安い。
(3)荷物が多い場合引っ越し業者の方が安い。
つまり
自分の荷物がどれくらいなのか計算したうえで、赤帽を使うか引っ越し業者を使うかまずは考えた方がいいです。
まとめ
短距離で荷物が少ない(単身)場合は赤帽は引っ越し業者より確かに安いです。
ただその安い理由は、赤帽の基本設定が軽トラ1台に一人であり、かつ地域密着型だからなのです。
安いのには安いなりのきちんとした理由があるのです。
ということで、利用者側からすれば赤帽の料金が安くなるカラクリを理解し、自らの条件(荷物の量・距離)などを判断した上で利用することで、赤帽を最大限に利用することが可能になってくるのです。